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野底マーペー

昔、八重山の石垣島と西表島の間にある黒島という小さな島に、マーペーという美しい娘と、カニムイという格好良い若者がいました。マーペーとカニムイの家は、中道と呼ばれる道を挟んだ向いにあり、小さい頃から大の仲良し。

ある日、島に大勢の役人がやってきて言いました。「新しく米やキビを作る土地を開く。村の中道からこちらに住んでいる者は、明日の朝、石垣島へ行くように。これは王様の命令である!」美しい娘マーペーが住んでいる側の村人たちは、王様の命令に逆らうことは出来ず、泣く泣く石垣島へ移り住むことになりました。マーペーは、カニムイとも、離れ離れになってしまったのです。

石垣島へ連れて行かれたマーペーたちは、野底という村で、朝から晩まで働いていましたが、ある夏、村を「マラリア」という恐ろしい伝染病が襲い、マーペーもマラリアにかかってしまいました。マラリアで苦しむマーペーは、カニムイの事を想い続けます。石垣島の人たちは、なんとかして悪い病気を振り払い、村を明るくしようと、祭りを行いました。しかし、祭りの夜、三味線や歌が聞こえて来ると、マーペーは幼い頃、カニムイとすごした黒島での楽しい祭りの時を思い出し、いてもたってもいられず、こっそり村を抜け出します。そして、マーペーは、どうしてもカニムイが住んでいる黒島が見たくて、苦しみながらも野底岳へと上っていきます。しかし、やっとの思いで頂上へ辿り着いたマーペーが見たものは、石垣島で一番高い「おもと岳」だったのです。目の前には、標高520メートルのおもと岳が立ちはだかり、カニムイの住む黒島は、どんなに目を凝らしても見ることはできませんでした。そして、精も根も尽き果てたマーペーは、悲しみのあまり息絶えそのまま石になってしまったということです。

悲しい石垣島に伝わるお話でした。

この悲しいお話が伝わる「野底マーペー」、北側の登山道から上って、マーペーの気持ちになってみるのも良いですね。大人の足なら50分ほどで頂上につくことができるそうです。ところどころ、急な斜面があるそうですが、子供でも登山可能な山とのこと。マーペーのお話をしながら昇って、頂上でお弁当を食べてみるのも良さそうです。

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